2028年度までに薬局がやるべきこと:地域医療構想スケジュールと行動リスト


「知っている」から「動く」へ
このシリーズでは、地域医療構想が薬局に与える影響、制度の基本、医歯薬連携、在宅需要のリアルと、いろいろな角度から書いてきました。
ここまで読んでくださった方は、もう「地域医療構想は病院の話」だとは思っていないはずです。これは薬局の話でもある。当事者として関わる話なんだ、と。
でも、知っているだけでは何も変わりません。大事なのは、そこから何を動かすか、です。
シリーズの最後となる今回は、2028年度という山場に向けて、薬局が具体的に何をしておくべきかを、スケジュールと行動リストの形でまとめます。総まとめとして読んでもらえたら嬉しいです。
まず、全体スケジュールをもう一度
行動を考える前に、時間軸を押さえましょう。地域医療構想の大きな流れはこうです。
| 時期 | 何が起きるか |
|---|---|
| 2026年度〜2027年度上半期 | データ分析、課題整理、区域の見直し |
| 2028年度まで | 各医療機関が2040年に担う機能を、病院名も含めて決定 |
| 2029年度頃 | 地域医療構想を踏まえた第9次医療計画を策定 |
| 2035年頃 | 一定の成果を確保 |
薬局にとっての最大の節目は2028年度です。あなたの門前病院が2040年に何を担うかが、ここで決まる。それまでの数年間が、準備と情報収集の勝負どころになります。
今すぐやること:情報を「取りに行く」
□ 自分の地域の調整会議の議事録を読む
地域医療構想調整会議の内容は、多くの都道府県で公表されています。まずは「自分の都道府県名+地域医療構想調整会議」で検索してみてください。門前病院の名前が議事録に出ていれば、その病院の将来像に関するヒントが得られます。
□ 門前病院の機能を予想する
あなたの門前病院は、5つの医療機関機能のどれになりそうか。急性期拠点か、高齢者救急・地域急性期か、在宅連携か。病院の規模、手術・救急の実績、近隣の競合病院の状況から、ある程度予想がつきます。
機能が変われば、出てくる処方箋が変わります。ここを予想しておくことが、次の一手の起点になります。
□ 自分の地域が「在宅型」か「施設型」かを把握する
前回の記事で書いたとおり、高齢者を在宅で支える地域か、施設で支える地域かは、地域によって大きく異なります。自分の地域に高齢者施設がどれくらいあるかを調べるだけでも、在宅戦略の方向性が見えてきます。
1〜2年でやること:連携の「実績」を作る
□ 医療機関との情報連携を仕組み化する
ガイドラインが「速やかに進めよ」と求めている医歯薬連携。ここは今すぐ動ける領域です。
トレーシングレポートを継続的に送る、医療機関からの問い合わせに丁寧に対応する。こうした地道な積み重ねが、「連携できる薬局」という実績になります。病院が機能を選ぶとき、連携実績のある薬局は強い。
連携の具体的な方法は、医歯薬連携の記事やトレーシングレポートの書き方も参考にしてみてください。
□ 在宅・施設連携の足がかりを作る
在宅に踏み出すなら、いきなり大規模にではなく、まず1件から。個人宅でも、施設との連携でも、自分の地域に合った形で始める。実績がゼロと1件では、その後の展開がまったく違います。
□ ICT・電子化に対応しておく
ガイドラインは、効率的な医療提供のためにICT活用を繰り返し強調しています。電子処方箋、オンライン資格確認、電子的な情報連携。こうした基盤への対応は、今後の連携の前提になります。後回しにすると、連携の輪から取り残されます。
2028年度に向けて:柱を「増やす」
ここまでの準備を踏まえて、中期的に目指すのは「門前依存からの脱却」です。
門前病院の処方箋だけに依存していると、その病院の機能が変わったとき、一緒に傾いてしまう。だから、収益の柱を複数持っておく。
- 在宅・施設連携という柱
- 面で処方箋を集める、かかりつけ機能の強化
- OTCや健康サポートなど、調剤以外の関わり
- 近隣の複数医療機関との連携
どれも一朝一夕にはできません。だからこそ、病院の機能が決まる2028年度より前から、少しずつ動いておく意味があります。
あなたの薬局の収益の柱は今、いくつありますか?
情報を追い続けるために
地域医療構想は、これから2028年度に向けて動き続けます。一度知って終わりではなく、追い続けることが大事です。
ぼくは、厚生労働省や都道府県の公表資料という一次情報を定期的にチェックしつつ、制度の背景を体系的にまとめた書籍を二次情報として併用しています。一次情報で最新の事実を、書籍で全体像を。この組み合わせが、変化に振り回されないための土台になります。

病院 2026年 2月号 特集 2040年,日本の病院医療はどうなるのか? 新たな地域医療構想の目指すもの

薬局経営の羅新盤 脱“調剤薬局”時代の航海術

【2026年度プライムタイガー版】薬局薬剤師のための在宅医療基礎講座: アウトドア薬局のまとめ資料総集編
まとめ:2028年度は、もう遠くない
地域医療構想シリーズの総まとめとして、薬局がやるべきことを整理します。
- 今すぐ:調整会議の議事録を読む、門前病院の機能を予想する、地域が在宅型か施設型かを把握する
- 1〜2年:医療機関との連携を仕組み化する、在宅・施設連携の足がかりを作る、ICTに対応する
- 2028年度に向けて:門前依存から脱却し、収益の柱を増やす
2028年度と聞くと、まだ先のように感じるかもしれません。でも、連携の実績を作るにも、在宅の柱を育てるにも、数年はかかります。逆算すると、今から動いてちょうどいいくらいなんです。
大きな政策の流れは、個人の薬剤師には変えられません。でも、その流れを知って、自分の薬局をどう備えさせるかは、自分で決められる。ぼくは、そこにこそ薬剤師の主体性があると思っています。
まずは今日、自分の都道府県の地域医療構想のページを開くところから。そこが、すべてのスタートです。
地域医療構想シリーズ全記事
← ①あなたの薬局の処方箋、2040年も来ますか?地域医療構想が薬局に与える影響
← ②地域医療構想とは?薬剤師が最低限知っておくべきことをやさしく解説
← ③地域医療構想に書かれた「医歯薬連携」を、薬局はどう読むべきか
← ④在宅需要は本当に増える?地域医療構想が示す数字を薬局目線で読む
※本記事は厚生労働省「地域医療構想策定ガイドライン」および関連資料に基づき、記事作成時点の情報で作成しています。制度の詳細や最新の動向は、厚生労働省および各都道府県の公表資料をご確認ください。記事中の解釈にはぼく個人の見解が含まれます。
