「もう、無理かもしれない」と思った夜

正直に書きます。管理薬剤師をやっていて、本気で「辞めたい」と思った時期がありました。

原因は、スタッフとの関係でした。誰か一人が悪いわけではなくて、お互いの感覚がずれていく感じ。注意すれば距離ができる、放っておけば現場が崩れる。どちらに動いても何かがすり減っていく。そんな状態が続いていました。

仕事中は何とか平静を保てていたんですが、家に帰って一人になると、ふっと「もう、無理かもしれない」という言葉が頭に浮かぶ夜がありました。

これまでの記事で、管理薬剤師として困ったことや乗り越えた話をいろいろ書いてきました。でも今日は、乗り越えられたかどうかも怪しい、しんどかった本音の部分を書いてみようと思います。


何にすり減っていたのか

具体的に何がしんどかったのか、振り返ってみます。

気を遣うことに、エネルギーを使い切っていた

誰に何を言うか、どう言うか、いつ言うか。一日の中で、薬剤師としての判断より、「人間関係の判断」に頭を使っている時間の方が長いと感じる日がありました。

調剤や服薬指導は、ぼくにとって好きな仕事でした。でも管理薬剤師の仕事は、その好きな仕事をする時間より、人間関係を調整する時間の方が増えていく。「これがやりたかったことだったのか」という違和感が、じわじわ大きくなっていきました。

「自分の対応が正しいのか」がわからなくなった

あるスタッフへの対応が良くなかったのか、別のスタッフへの言い方が悪かったのか。常に自分の振る舞いを疑い続ける状態になっていました。

正解がわからないまま、毎日何かを判断しなければいけない。その判断の積み重ねが、思っていたより重かった。

頑張っても、関係が良くなる保証がなかった

仕事なら、頑張れば結果が出ることが多い。でも人間関係は違う。こちらがどれだけ努力しても、相手の受け取り方次第で、関係が良くなるとは限らない。

その「頑張っても保証がない」という感覚が、一番きつかったかもしれません。あなたも、頑張りが結果に直結しないしんどさを感じたことはありますか?


それでも、辞めなかった理由

結局、ぼくは辞めませんでした。思い直して、続けることを選びました。

特別な解決策があったわけではありません。何か一つの出来事で吹っ切れた、というドラマチックな転機もない。正直に言うと、自分の中でゆっくり考えを整理していった、というだけです。

そのとき頭の中をめぐっていたことを、いくつか書いてみます。

「今すり減っているのは、管理という仕事の一部だ」と捉え直した

「自分には向いていない」と思いかけたとき、一度立ち止まって考えました。これは「自分が向いていない」のではなく、「管理薬剤師という仕事そのものに、人間関係の調整というしんどい部分が含まれている」だけなんじゃないか。

自分を否定するより、仕事の構造として受け止める方が、少しだけ気持ちが楽になりました。

「すべての関係が良くなる必要はない」と思うようにした

全員と良い関係を築こうとしていたことが、苦しさの根っこにあったのかもしれません。

「合わない人がいてもいい」「全員に好かれなくてもいい」。そう思えるようになってから、少しだけ肩の力が抜けました。管理薬剤師の仕事は、好かれることではなく、現場が機能することだと考え方を変えました。

「刺激があるから人生は愉しい」を思い出した

ぼくの座右の銘は「刺激があるから人生は愉しい」です。

このしんどさも、ある意味「刺激」の一つだと、強引にでも思うようにしました。楽しいとは到底思えなかったけれど、「ここを乗り越えたら、何か得るものがあるかもしれない」と、未来の自分に賭けるような感覚で続けてみることにしたんです。


あのとき辞めなかったから、今がある

今になって思うのは、あのしんどい時期を乗り越えたことが、今の自分の土台の一部になっているということです。

40歳を超えて、115社に応募して、114社に落ちながら、医療経営コンサルタントに転職しました。あの転職活動の中でも、心が折れそうになる瞬間は何度もありました。でも、管理薬剤師時代に「すり減りながらも続けた」経験があったから、「今回もきっと続けられる」と思えた部分があります。

辞めなかったことが正解だった、と断言はできません。辞めて別の道に進んでいたら、それも別の良さがあったと思う。でも、あのとき続けたことで見えた景色は、確かにあります。


今、辞めたいと思っているあなたへ

もし今、管理薬剤師として「辞めたい」と感じているなら、一つだけ伝えたいことがあります。

その気持ちは、弱さでも甘えでもありません。人間関係に消耗するのは、ちゃんと向き合っているからこそ起きることです。何も考えずに流していれば、すり減ることもない。

辞めるという選択も、続けるという選択も、どちらも間違いではないと思っています。ただ、決める前に少しだけ、「今すり減っているのは自分のせいではなく、この仕事の構造の一部かもしれない」と捉え直す時間を、自分に与えてあげてください。


まとめ:すり減ることと、続けることは両立する

管理薬剤師として「辞めたい」と思った瞬間を、正直に振り返りました。

  1. スタッフとの関係に消耗し、本気で辞めたいと思った時期があった
  2. 気を遣うことにエネルギーを使い切り、判断の正解がわからなくなった
  3. 頑張っても関係が良くなる保証がないことが、一番きつかった
  4. 「仕事の構造の一部」と捉え直し、全員に好かれなくていいと思うことで続けられた

すり減ることと、続けることは、矛盾せずに両立します。すり減りながらも続けた経験が、後の自分を支えてくれることがある。それを、ぼく自身の経験として伝えたくて、この記事を書きました。

今しんどさの中にいるなら、まず一晩、何も決めずに眠ってみてください。


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※本記事はぼく個人の経験に基づく見解です。もし今、深刻に心身がつらいと感じている場合は、一人で抱え込まず、職場の相談窓口や専門機関に相談することも検討してみてください。