評価が下がったとき、薬剤師はどう受け止め、どう立て直すか〜感情と事実を切り分ける4つのステップ〜


評価が下がった通知を受けたとき、頭が真っ白になりました。
「なんで」という言葉だけが、ぐるぐる回っていたのを覚えています。自分が間違っていたのか、会社が間違っていたのか、その時は判断できませんでした。ただ、悔しさと情けなさだけが、はっきりありました。
もし今、あなたが同じような状況にいるなら、伝えたいことがあります。「不当だ」と「自分が悪い」のどちらかに、無理に結論を出さなくていいということです。
今日は、ぼくが実際にやった「感情と事実を切り分けて、自分なりの結論にたどり着くまでの手順」を、そのまま書いてみようと思います。今、評価が下がってつらい思いをしている薬剤師の方に、少しでも役立てば嬉しいです。
まず、感情のまま結論を出さない
評価が下がったと知らされた瞬間、頭の中には色々な感情が一気に押し寄せてきます。
怒り。「なんでだ」という納得のいかなさ。「自分には向いていないのかもしれない」という自己否定。悔しさ。それらが全部混ざり合って、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
この状態で、その場ですぐに結論を出そうとするのは、正直おすすめしません。「不当だ、会社が間違っている」と決めつけるのも、「自分がダメだったんだ」と決めつけるのも、どちらも今のこの感情の勢いに引っ張られた結論になりがちだからです。
ぼく自身、最初の数日は、ずっとこの感情の渦の中にいました。夜、一人になると、悔しさと自己否定が交互に押し寄せてくる。そんな状態のとき、大事な判断はできません。
まずやるべきは、結論を急がないことです。感情が動いている間は、「今は判断するタイミングじゃない」と、自分に言い聞かせてあげてください。
「事実」だけを書き出してみる
感情が少し落ち着いてきたら、次にやったのが、これでした。起きたことを、感情を抜いて、時系列で書き出すことです。
いつ、何を言われたか。誰から、どういう理由で。自分がその前に、何をしていたか。紙でもスマホのメモでも構いません。「悔しかった」「腹が立った」といった感情の言葉は、いったん全部外して、事実だけを並べていきます。
これをやると、感情の渦の中にいたときには見えなかったものが、見えてくることがあります。
ぼくの場合、時系列で書き出してみて、初めて気づいたことがありました。自分への不満の声が上がった相手は、どちらも「自分が担当になったばかりのタイミングの相手」だったんです。感情のままだったら、「自分は嫌われた」「相性が悪かった」で終わっていたと思います。でも事実だけを並べたことで、「新しく担当したばかりのタイミングで、不満が表面化しやすかった」という、もう少し構造的な見え方ができるようになりました。
事実を書き出す作業は、地味です。でも、この地味な作業が、次のステップの土台になります。
「自分の非」と「会社の非」を分けて考える
事実を時系列で並べたら、次にやることがあります。「自分の非」と「会社の非」を、それぞれ別々に書き出すことです。
ここでやってはいけないのが、どちらかをゼロにすることです。「全部自分が悪い」と考えるのも、「全部会社が悪い」と考えるのも、どちらも思考停止です。多くの場合、現実はその中間のどこかにあります。
ぼくの場合、「会社の非」として見えてきたのは、判断のプロセスでした。本人への事前の確認がないまま、限られた声だけを根拠に判断が下されていたこと。これは、会社側の落とし穴として、はっきり指摘できることでした。
一方で、「自分の非」として見えてきたのは、新しく担当することになった相手との関係づくりに、十分な時間を割けていなかったことでした。任された範囲が急に広がった中で、どうしても目の前の対応に追われて、関係が薄いままの相手ができてしまっていた。これは、会社のせいにはできない、自分の側の課題でした。
ここで一つ、大事にしていたルールがあります。根拠のない推測は、自分の非にも、会社の非にも入れないということです。
正直に言うと、当時のぼくの頭の中には、「もしかしたら、あの人が裏で何か動いていたんじゃないか」という疑いも一瞬よぎりました。でも、それを裏付ける事実は何もありませんでした。「そんな気もする」という感覚だけで人を疑うのは、結局、自分を守るための都合のいい物語を作っているだけです。疑わしきは罰せず。根拠のない推測は、結論からきっぱり除外する。これを徹底したことで、整理はかなりクリアになりました。
そしてもう一つ、知っておいてほしいことがあります。自分の非を見つめる作業は大事ですが、やりすぎると「全部自分が悪かったんだ」と、必要以上に自分を責めてしまう方向に振れることがあります。会社の人事判断は、思っている以上に粗いプロセスで決まっていることがあります。限られた人からの声だけで結論が出されたり、本人への確認がないまま話が進んだりすることは、残念ながら珍しくありません。これは、ぼく自身が今、医療経営コンサルタントとして経営者側の視点で人材評価に関わるようになって、より強く実感するようになったことです。評価する側も、決して万能ではありません。
(このテーマについては、経営者・評価する側に向けて別記事でも詳しく書いています。もし興味があれば、あわせて読んでみてください。)
自分の非と会社の非、両方を書き出してみてください。そして、根拠のない推測が混ざっていないか、一つずつ確認してみてください。
「立て直す」=納得することではなく、次の一歩を選ぶこと
ここまで、事実を書き出し、自分の非と会社の非を分けて整理してきました。でも、正直に言っておきたいことがあります。この作業をやり切っても、「完全に納得できる」ようにはならないかもしれません。
ぼく自身、今でも、あの判断のすべてに納得しているわけではありません。それでいいんだと思っています。「立て直す」というのは、すべてに納得することではなく、整理された状態から、自分の意思で次の一歩を選び直すことだと、今は考えています。
残る、辞める。異動を受け入れる、別の道を探す。どちらが正解かは、状況によって違います。ぼくは結果的に転職という道を選びましたが、それが誰にとっても正しいとは思いません。
大事なのは、感情に押し流されたまま辞めることでも、自分を責め続けたまま無理に残ることでもなく、事実と、自分の非と、会社の非を、それぞれ見た上で選ぶことです。同じ状況でも、そこから見える景色が整理されているかどうかで、選ぶ一歩の納得感はまったく違ってきます。
まとめ:感情と事実を切り分ける4つのステップ
評価が下がったとき、ぼくが実際にやったことを振り返ります。
- 感情のまま結論を出さず、まず時間を置く
- 起きたことを、感情を抜いて事実だけ時系列で書き出す
- 自分の非と会社の非を、根拠のない推測を除いて分けて考える
- 整理された状態から、自分の意思で次の一歩を選ぶ
今、評価が下がってつらい思いをしているなら、無理に今日、結論を出さなくて大丈夫です。まず、事実だけを紙に書き出すところから、始めてみてください。
※本記事はぼく個人の経験に基づく見解です。状況によって最適な対応は異なります。もし深刻に心身がつらいと感じている場合は、一人で抱え込まず、職場の相談窓口や専門機関に相談することも検討してみてください。
