調剤ベースアップ評価料で薬剤師の給料は上がる?令和8年新設をわかりやすく解説


「これ、結局いくら上がるの?」
令和8年度の調剤報酬改定で「調剤ベースアップ評価料」が新設された、というニュースを見たとき、現場の薬剤師が一番知りたいのはこれだと思うんです。
「賃上げのための評価料です」と言われても、正直ピンと来ない。結局、自分の給料は上がるのか。上がるとしたら、いくらなのか。
ぼくは今はコンサルタントとして医療機関の経営に関わる立場ですが、薬剤師として現場にいたころは、こういう制度の話が出るたびに「で、自分にとってどうなの?」と思っていました笑。
今日は、調剤ベースアップ評価料について、現場薬剤師の目線で「結局どうなの?」をわかりやすく整理します。
調剤ベースアップ評価料とは何か
まず、基本から。
調剤ベースアップ評価料は、薬局の薬剤師や事務職員などの賃上げを図る目的で新設された評価料です。処方箋の受付1回につき4点を算定します。
ポイントは「賃上げのため」という目的が明確に決まっていることです。この評価料で得た収入は、薬局が自由に使えるお金ではなく、職員の賃上げに充てることが前提になっています。
もう一つ、同じく令和8年度改定で新設された「調剤物価対応料」というものもあります。こちらは物価上昇への対応で、3か月に1回1点を算定します。セットで語られることが多いですが、目的は少し違います。ベースアップ評価料が「賃上げ」、物価対応料が「物価高対応」です。
なお、どちらも2027年6月以降は、所定点数の2倍に相当する点数を算定することになっています。段階的に評価を引き上げていく設計です。
結局、給料はいくら上がるのか
ここが本題ですね。ざっくり計算してみましょう。
調剤ベースアップ評価料は、処方箋1回につき4点。1点=10円なので、処方箋1枚あたり40円です。
仮に、月に4,000枚の処方箋を受け付ける薬局があるとします。すると、
- 40円 × 4,000枚 = 月16万円の収入
- この16万円を、薬局全体の職員の賃上げに充てる
ここで注意したいのは、この16万円が一人の薬剤師にまるごと入るわけではない、ということです。薬剤師、事務職員など、対象となる職員全体で分配されます。
だから、「自分の給料がいきなり月16万上がる」わけではありません。薬局の規模や職員数によって、一人あたりの上がり幅は変わります。処方箋枚数が多い薬局ほど原資は大きくなりますが、その分職員数も多いことが多いので、単純ではないんです。
あなたの薬局の処方箋枚数と職員数だと、どれくらいになりそうですか?
算定するには「届出」が必要
ここが現場で見落とされがちなポイントです。
調剤ベースアップ評価料は、算定するために施設基準の届出が必要です。届出をしていない薬局は、そもそも算定できません。つまり、賃上げの原資も入ってこない。
「なんとなく新設された評価料だから自動的にもらえる」ものではないんです。薬局側が能動的に届出をして、賃上げの計画を立てて、実績を報告する。この一連の手続きをやって初めて算定できます。
もし現場の薬剤師として「うちの薬局、ベースアップ評価料ってどうなってるんだろう」と気になったら、管理薬剤師や経営者に確認してみるのもいいと思います。届出をしていなければ、賃上げのチャンスを逃していることになりますから。
正直に言うと、これで「十分」とは思えない
ここからは、ぼくの本音を書きます。
調剤ベースアップ評価料は、賃上げの方向に一歩進んだこと自体は良いことだと思っています。物価が上がり続ける中で、何もないよりははるかにいい。
でも正直に言えば、これで薬剤師の待遇が劇的に良くなるかというと、そこまでではないと感じています。処方箋1枚40円という水準は、職員全体で分配することを考えると、一人あたりのインパクトは限定的です。
だからこそ、思うんです。制度による賃上げを待つだけでなく、自分自身のキャリアや働き方を主体的に考えることも大事なんじゃないか、と。
ぼく自身、薬剤師として働きながら「このままでいいのか」と考えて、40歳を超えてから医療経営コンサルタントに転職しました。115社に応募して、114社に落ちて、最後の1社に拾ってもらった。決して楽な道ではなかったけれど、自分で動いたことで景色が変わったのは事実です。
制度が自分を守ってくれるのを待つのか、自分で動くのか。この評価料のニュースは、そんなことを考えるきっかけにもなるんじゃないかと思っています。
改定を正しく理解するために
令和8年度改定は、調剤ベースアップ評価料以外にも新設・変更項目が非常に多い改定です。現場で算定漏れを起こさないためにも、改定全体を正確に把握しておくことが大事です。
ぼくは制度を確認するとき、最新版の調剤報酬点数表を手元に置くようにしています。ネットの情報だけだと断片的になりがちですが、点数表や、加算・料に関する解説本が一冊あると、改定の全体像を体系的に確認できて安心です。毎年の改定のたびに買い替える薬剤師も多いと思います

診療報酬点数表 改正点の解説(医科・調剤)令和8年6月版

保険薬局Q&A 令和8年版 薬局・薬剤師業務のポイント

調剤報酬点数表の解釈 令和8年6月版
まとめ:仕組みを知った上で、自分の働き方も考えよう
調剤ベースアップ評価料について整理します。
- 薬剤師・事務職員などの賃上げを目的に新設された評価料(処方箋1回4点)
- 得た収入は職員全体の賃上げに充てられるため、一人あたりの上がり幅は薬局の規模次第
- 算定には施設基準の届出が必要。届出がなければ原資は入ってこない
- 賃上げの一歩ではあるが、これだけで待遇が劇的に良くなるわけではない
制度を正しく理解することは大事です。その上で、制度による賃上げを待つだけでなく、自分のキャリアや働き方も主体的に考えていく。その両輪が、これからの薬剤師には必要なんじゃないかと思っています。
まず、自分の薬局がベースアップ評価料の届出をしているか、確認してみてください。
※本記事は令和8年(2026年)6月1日施行の改定内容に基づいて作成しています。算定要件・施設基準の詳細は、厚生労働省の告示・通知・疑義解釈で必ずご確認ください。
