「店長に任せる」は、言うほど簡単じゃない

前回の記事で、エリアマネージャーは「自分の目で全部を見ることはできない」という話を書きました。だから、現場を預かる店長に任せて、その人を通じて現場を感じるしかない。

理屈ではわかっていました。でも、実際にやってみると「店長に任せる」というのは、想像していたよりずっと難しかったんです。

一番の理由は、店長のレベルや意欲に、大きなバラツキがあったことでした。

今日は、その店長との関わり方でぼくがぶつかった壁と、今振り返って「こうすればよかった」と思う反省を、正直に書きます。


店長は、一人ひとり全然違う

当たり前のことなんですが、店長といっても一人ひとり全然違います。

自分で考えて動ける人もいれば、細かく指示しないと動けない人もいる。数字に強い人もいれば、現場のスタッフ管理は得意でも経営的な視点が弱い人もいる。意欲的にどんどん提案してくる人もいれば、言われたことだけを淡々とこなす人もいる。

同じ「任せる」でも、相手によって任せられる範囲がまったく違う。ある店長には全面的に任せられても、別の店長には細かくフォローが必要になる。

この「相手によって関わり方を変える」ということが、エリアマネージャーの仕事の核心なのだと、やりながら気づいていきました。あなたなら、タイプの違う複数の部下に、どう接し方を変えますか?


担当店舗が少ないうちは、うまくいっていた

正直に言うと、担当する店舗が少なかったころは、わりとうまくいっていました。

店舗数が限られていれば、それぞれの店長とじっくり関われる。一人ひとりのタイプを把握して、この人にはこう接する、あの人にはこう任せる、という調整が回せていた。店長との信頼関係も、時間をかけて築くことができた。

「エリアマネージャー、意外とやれるかもしれない」。そう思っていた時期もあったんです。

でも、その手応えは、担当店舗が増えたときに崩れました。


担当が増えたとき、関係づくりが破綻した

担当する店舗が大きく増えたとき、状況が一変しました。

一人ひとりの店長とじっくり関わる時間が、物理的に取れなくなった。特に苦労したのが、新しく担当することになった店舗の店長との関係づくりでした。

もともと関係ができていた店長とは、少ない接触でも意思疎通ができる。でも、新規で担当する店舗の店長とは、まだ何の信頼関係もない。ゼロから関係を築かなければいけないのに、その時間が取れない。

結果、新任の店舗ほど、関わりが浅いまま放置されるような形になってしまった。相手からすれば「新しいエリアマネージャーが来たけど、よくわからない人」という状態だったと思います。信頼関係が築けないまま、すれ違いだけが積み重なっていきました。

正直に言えば、この関係づくりは、最後までうまくいきませんでした。


今なら分かる「こうすればよかった」

今、病院経営のコンサルタントとして複数の医療機関を同時に見る立場になって、当時の自分を振り返ると、「こうすればよかった」と思うことがいくつもあります。

反省①|新任の店舗こそ、最初に時間を投資すべきだった

ぼくは、関係ができている店舗と新任の店舗に、同じように時間を配分しようとしていました。公平にやろうとしたんです。

でも、これが間違いでした。すでに信頼関係がある店舗は、多少手を抜いても回る。本当に時間を投資すべきだったのは、まだ関係がゼロの新任店舗の方だったんです。

最初の数ヶ月だけでも、新任店舗に集中的に通って関係の土台を作っておけば、その後の展開はまったく違っていたはずです。「均等」ではなく「必要なところに厚く」。これがエリアマネジメントの鉄則だと、今なら分かります。

反省②|「関係づくり」を自分一人で抱え込んでいた

新任の店長との関係を、ぼくは自分一人で築こうとしていました。

でも、既存の信頼できる店長に「橋渡し役」をお願いする、という手があった。同じ立場の店長同士の方が、ぼくが直接関わるより早く打ち解けられることもある。人を介して関係を広げるという発想が、当時のぼくには欠けていました。

全部を自分でやろうとする。これは管理薬剤師時代からのぼくの悪い癖で、エリアマネージャーになっても直せていなかった部分です。

反省③|相手のタイプを見極める前に、動こうとしていた

新任の店長がどういうタイプなのか、じっくり見極める前に、ぼくは「こう関わろう」と決めてしまっていました。

自分で考えて動きたいタイプの人に細かく口を出せば、うっとうしがられる。逆に、指示がほしいタイプの人を放置すれば、不安にさせる。相手をよく観察してから関わり方を決めるべきだったのに、焦って先に動いてしまった。

時間がないときほど、まず観察する。急がば回れが、結局は一番の近道だったと思います。


まとめ:任せることは、関係づくりから始まる

エリアマネージャーとして店長と関わる中で学んだこと、そして反省を整理します。

  1. 店長はレベルも意欲もバラバラ。相手によって関わり方を変えるのが核心
  2. 担当が少ないうちは回せても、増えると関係づくりが破綻しやすい
  3. 新任店舗こそ、最初に時間を集中投資すべきだった
  4. 関係づくりを自分一人で抱えず、人を介して広げるべきだった
  5. 焦って動く前に、まず相手をよく観察すべきだった

「任せる」というのは、丸投げすることではありません。任せられる関係を築いて初めて、任せることができる。その関係づくりを甘く見ていたことが、ぼくの一番の反省です。

もし今、あなたが複数の部下やチームを任される立場にいるなら、一番関係が薄い相手に、まず時間を使ってみてください。そこが、一番の伸びしろです。


【前の記事】エリアマネージャーになって最初にぶつかった壁【複数店舗の難しさ】

【関連】管理薬剤師になって最初に困ったこと【ドラッグストア編・体験談】


※本記事はぼく個人の体験に基づく見解です。組織体制や状況によって最適なマネジメントは異なります。参考程度にお読みください。