入社して最初にやらかした、恥ずかしい失敗

正直に言います。

コンサルタントとして入社して間もない頃、ベテランの先輩に社内チャットでメッセージを送りました。

「〇〇の案件について、過去のご経験をぜひ教えてください! どんな点が大変でしたか? どうやって乗り越えましたか? また、今後自分が気をつけるべきことはどんなことでしょうか? お時間のある時に詳しくお聞きできればと思います!」

…3日間、返信なし。涙

その後、廊下でその先輩にすれ違った時の気まずさといったら。

でもぼくは当時、「なんで返信してくれないんだろう」と思っていたんです。今思えば恥ずかしい話ですが、あの時の自分には本当に何がダメだったのかがわかっていなかった。

薬剤師として15年以上働いてきて、「聞く力」にはそれなりに自信があったんです。患者さんのヒアリング、医師への疑義照会、ケアマネさんとの連携会議。40歳を過ぎて医療経営コンサルタントに転身した自分でも、そこは通用するだろうと根拠なく思っていた。

……完全なる慢心でした 笑

115社に応募して114社に落ちながら、ようやく掴んだこの仕事。その入り口でまた同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。そう思って、社内ヒアリングの「打率」を上げるために徹底的に自分のやり方を見直したんです。

今日はその経験をもとに、新人コンサルタントが社内ヒアリングで絶対にやってはいけないことと、ベテランが「この人は話しやすい」と思う聞き方の鉄則を書いていきたいと思っています。


なぜ、新人の社内ヒアリングは「すれ違う」のか?

そもそも、なぜ新人の社内ヒアリングはこんなにも空回りしやすいんでしょうか?

ぼくが体験を通じてたどり着いた答えは、「新人とベテランの思考回路は、根本的に違う」ということでした。

新人の立場からすると、「とにかく全体像やリアルな苦労話を知りたい。教えてもらえば何かがわかるはずだ」という気持ちで動きます。気持ちはわかる、でも問題はここなんです。

ベテランの側から見ると、「コンサルタントなんだから、まず目的と前提を整理してから来てくれ」となるんです。

医療経営コンサルタントという仕事は、クライアントの課題を具体的に絞り込んでから解を出す仕事です。「とりあえず全部教えてください」という問いに答えを出しようがない。それはベテランの頭の構造として当然の反応なんですよね。

この**「抽象的な質問」と「具体的な答えを求める脳みそ」のギャップ**を埋めないまま突撃することが、社内ヒアリング最大の落とし穴です。

あなたは、いきなり「じゃあ何でも教えて」という質問を受けて、すらすら答えられますか?


新人がやりがちな「3大失敗パターン」

ぼく自身の失敗を含め、よく見かけるパターンを3つに整理しました。

① 「なんのために聞くのか」を隠して聞いてしまう

「〇〇のプロジェクトについて教えてください」「〇〇って大変でしたか?」

こういう聞き方、ぼくは最初によくやっていました。

でもベテランからすると、「この人は提案書の実績欄に書きたいの? それとも自分の勉強のために聞いてるの? どっちかによって話すべき内容が全然違うんだけど…」という状態になるんですよね。

答えるべきレベル感がわからないから、思考に負荷がかかって、シャッターが下りる。

よく患者さんが薬剤師に「この薬、何に効くんですか?」と聞いてきた時に、「どこがつらいんですか?」と確認してから説明しますよね。あれと全く同じ話なんです。

② 相手の専門性を読み違えて聞きに行く

「あの人は〇〇担当だったらしい」という噂だけを頼りに、泥臭い実務の細かい話を聞きに行ってしまうパターンです。

でも実際には、その先輩は「全体統括・承認」だけを担当していて、エクセルの入力作業なんかは部下に任せきりだったケースが多い。

コンサルタントは専門外のことを「知らない」と言うのがプライド的にとてもしんどい。だから返信が止まるんです。

これは薬局時代にも似たケースがありました。「点数の計算どうしてました?」って聞かれた先生が、「そういや細かい計算は全部調剤補助にやってもらってたなぁ…」となるやつです 笑

③ チャットで「長文・丸投げ」する

これがぼくの最初の失敗そのものでした。

熱意と調べた内容を全部チャットに書き込む。「丸投げせずに、ちゃんと事前調査しましたよ」という姿勢を見せようとするほど、長文になる。

でもベテランから見ると「これは片手間で返せない。まとまった時間ができたら読もう」となって、タスクが後回しになる。結果として既読スルー、涙。

チャットというツールの特性上、「1画面に収まらない文章=後回し」は鉄板の法則なんですよね。


ベテランが「この人は話しやすい」と思う、3つの鉄則

ここからが本番です。失敗を踏まえて、打率が劇的に上がった方法を書きます。

鉄則1:「背景(Why)」と「自分の現在地」を1行で伝える

質問の前に、必ずセットにして伝えることがあります。

**「何のために聞くのか(クライアントのどんな課題と紐づいているか)」と、「自分はどこまで調べて、どこで詰まっているか」**の2点です。

✕ 悪い例:「〇〇のやり方について、生の声を聞かせてください」

○ 良い例:「△△病院のコスト削減提案にあたり、〇〇制度の活用を検討しています。マニュアルは読み込んだのですが、実務上のリアルな壁について15分だけ知見を拝借できますか?」

たった一文の違いですが、ベテランの受け取り方は全然違います。「ああ、この人は何がわかっていて、何がわかっていないのかが見えている」となるから、答えやすくなるんです。

薬剤師時代でいうと、医師への疑義照会と同じ感覚です。「この薬なんですが…」ではなく「腎機能低下の患者さんで〇〇の懸念があり、用量の調整をご検討いただけますか」と伝えると話が早い。あれと全く同じ構造です。

鉄則2:「作業」ではなく「判断(意思決定)」を聞く

ベテランコンサルタントには共通した特性があります。

「自分がどう作業したか」を思い出して語るのは面倒くさい。でも「自分がどう判断したか、どう決断したか」を語るのは大好き、ということです。

これはプライドの問題でもあるし、記憶の問題でもあります。ルーティン作業の手順は忘れていても、あの時の戦略判断は鮮明に覚えている、ということはよくあるんです。

✕ 「〇〇の準備はどれくらい大変でしたか?」 ○ 「当時、どんな課題があってその決断をされたんですか?」

この聞き方一つで、先輩の口が劇的に軽くなります。ぼくも最初にこれを試した時、「お、なんか話してくれてる…!」と感動しました 笑

鉄則3:チャットは「15分のアポ依頼」だけに絞る

チャットは「中身を議論する場」ではありません。「時間を取ってもらうための道具」です。

ベテランの時間への負荷を極限まで下げた、スマートな依頼フォーマットがこちらです。


〇〇さん、お疲れ様です。新人の[自分の名前]です。

現在、〇〇関連の提案に向けて解像度を上げたく、〇〇をご経験された〇〇さんに15分だけインタビューのお時間をいただきたくご連絡しました。

当日お聞きしたい論点は以下の3点だけです。

  1. 当時、進める上で一番のハードルになった点
  2. マニュアルには載っていない実務上の注意点
  3. 新人の私が今、最も気をつけるべき落とし穴

今週〜来週でお手隙のタイミングがあればご検討ください


ポイントは3つ。「15分」という時間の明示、「論点3つだけ」という絞り込み、そして「ご無理のない範囲で」という心理的なハードルを下げる一言です。

これなら読んで5秒で「返事できるかどうか」が判断できる。だから返信が来やすくなるんです。


返信がない時の「大人のリカバリー」

それでもたまに返信が来ないことはあります。そういう時は焦らなくていいです。ベテランは大抵、顧客対応で炎上していたり、出張中でタスクが流れているだけです。

コツは2ステップ。

ステップ1:チャットで追いかけない(2〜3日は泳がせる)

催促チャットは相手にプレッシャーを与えます。相手は「なんか急かされてる…」となって、むしろ返しにくくなる。ここは我慢です。

ステップ2:廊下ですれ違った瞬間に「笑顔で」直接声をかける

これが最強です。

「〇〇さん! 先日は要領を得ないチャットを送ってしまってすみませんでした。自分なりにもう少し整理してから、また改めてご相談させてください」

このひと言で先輩側も「いや、こっちこそ返せなくてごめんね」となって、次の相談への扉が自然と開きます。ぼくが実際に使った時は、むしろその場で「今ちょっと時間あるよ」と話してもらえたこともありました。涙(うれし涙)


まとめ:「すれ違い」はコンサルタントとしての最高の特訓だ

ぼくがコンサルタントに転身したのは40歳を超えてからでした。薬剤師としての経験しかない。115社に応募して、114社に落ちた。エージェントには全員「難しい」と言われました。

それでも今こうして仕事を続けられているのは、失敗のたびに「なんでうまくいかなかったのか」を自分なりに言語化して、次に活かすことを繰り返してきたからだと思っています。

社内ヒアリングの「返信が来ない」「意図が伝わらない」という経験は、実はコンサルタントとして最高の特訓です。なぜなら、これはクライアントとのコミュニケーションでも完全に同じ構造で起きるから。

「なんのために聞くのか(Why)を先に伝える」 「判断・意思決定を引き出す問いを立てる」 「相手の時間コストを最小化した依頼をする」

この3つを社内で練習できているうちは、まだやり直しがきく。クライアント相手に同じことをやってしまってからでは遅い。

座右の銘は「刺激があるから人生は愉しい」です。社内ヒアリングの壁も、刺激のひとつ。そう思えると少し楽になりませんか?

今日のうちに、明日ベテランに送るチャットの文面を、15分かけて書き直してみてください。