「この子を、自分たちだけで育てていけるんだろうか」

娘の診断名を告げられたとき、ぼくの頭に真っ先に浮かんだのはその言葉でした。喜びでも悲しみでもなく、言いようのない不安が静かに、でも確実に、胸の奥を締め付けてきました。

児童発達支援や放課後等デイサービスという言葉を初めて聞いたのは、その直後のことです。病院のスタッフさんが「こういうサービスがありますよ」と教えてくれなければ、しばらくその存在すら知らなかったと思います。

薬剤師として15年以上働き、40歳を超えてから病院経営コンサルタントへ転職しました。
4人の子どもを育てながら、エージェント全員に「難しい」と言われつつ115社に応募し続けたぼくでも、「障がいのある子を育てる」という現実の前では、正直、途方に暮れました。

「刺激があるから人生は愉しい」が座右の銘のぼくが言うのもなんですが、
この種の不安は「刺激」とは呼べない重さがあります。

今回は、同じように「障がいのある子を、どこかに預けられないか」「どんなサポートがあるのか」と悩んでいるパパママに向けて、児童発達支援と放課後等デイサービスの違いを整理してお伝えします。これを読めば、わが子に合ったサービスを選ぶための軸が見えてくるはずです。


そもそも「障がい児の福祉サービス」って何があるの?

まず大前提として、障がいのある子ども(または発達に心配がある子ども)が利用できる公的サービスには、主に2種類があります。

  • 児童発達支援(就学前の子ども対象)
  • 放課後等デイサービス(就学後〜18歳対象)

年齢によって使えるサービスが変わってくるため、まずわが子の年齢を確認することが第一歩です。

「うちの子は診断名がなくても使えるの?」という疑問を持つ方も多いと思います。答えはイエスです。市区町村が発行する「受給者証」があれば、正式な診断がなくても利用できるケースが多くあります。まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみてください。

あなたのお子さんは今、何歳でしょうか?そこから逆算して、まず対象サービスを絞っていきましょう。


児童発達支援には「2種類」ある。これを知らずに選ぶと後悔します

ここが、ぼくが一番お伝えしたいポイントです。

実は児童発達支援にも大きく2種類あります。それが「預かり型(保育所型)」と「学習型(療育特化型)」です。名称は事業所によって異なりますが、性質はこの2つに分けられます。

預かり型(保育所型)
「とにかく安心して預けたい」ならこれ

保育園に近いイメージで、1日を通じて子どもを預かってくれます。スタッフが日常生活のサポートをしながら、集団生活への適応を促すのが主な目的です。

ポイントは「送迎つき」のところが多いことです。

これ、本当に大きいです。障がいのある子の送迎は、定型発達の子とは訳が違います。「行きたくない」と玄関先で泣き崩れる、車に乗るまでに30分かかる、乗ったら乗ったで感覚過敏でパニックになる。そういう経験をしたことがある親御さんなら、送迎つきサービスの価値が身にしみてわかるはずです。

ぼくも最初は「送迎があるかどうかなんて、サービスの質と関係ないでしょ」と思っていました。完全に間違いでした。仕事を続けながら子育てをするためには、送迎の有無が死活問題になります。 事業所を選ぶとき、まず「送迎対応エリアに自宅が入っているか」を確認することを強くおすすめします。

学習型(療育特化型)
「この力を伸ばしたい」があるならこれ

こちらは習い事に近いイメージです。1〜2時間程度のプログラムに特化していて、言語療法・作業療法・ABAなど、特定の目的に絞ったアプローチを行います。

「発語を促したい」「手先の器用さを伸ばしたい」「感覚過敏を和らげたい」といった、ピンポイントの願いを叶えるには、こちらの方が向いています。

ただし、「預かり」という観点では時間が短いため、就労中のパパママには単独では使いにくいというデメリットもあります。預かり型と組み合わせて使うのがベターです。


放課後等デイサービスは小学校入学後からの選択肢

小学校に入ったあとは、「放課後等デイサービス(放デイ)」が主な選択肢になります。

学校が終わった放課後に通い、おやつを食べたりプログラムに参加したりして過ごします。夏休みや冬休みなど、長期休暇中は朝から預かってくれることも多いです。

こちらも、送迎の有無は必ず確認してください。 共働きの家庭にとって、「学校まで迎えに来てくれて、家まで送り届けてくれる」かどうかは、仕事を続けられるかどうかの分かれ目になります。

放デイの中にも、自由遊び中心の事業所学習・療育プログラム特化型の事業所があります。あなたはわが子に何を望んでいますか?そこが選択の軸になります。


事業所を選ぶときの「4つのチェックポイント」

選択肢がわかったところで、次は「どうやって選ぶか」です。実際に複数の事業所を見学して気づいた、本当に重要なポイントをまとめました。

① 送迎エリアと時間帯を確認する

繰り返しになりますが、これが最重要だと思っています。「自宅エリアが送迎対応範囲内か」「仕事の出勤時間に合わせて送り出してもらえるか」は、見学前に電話で確認しておくと効率的です。

② スタッフの資格と経験を聞く

「児童発達支援管理責任者」(児発管)という資格を持った方が配置されているかは最低限確認しましょう。その方が実際に子どもたちとどう関わっているかも、見学のときに目で見て確かめてください。

③ プログラムの内容が「わが子の課題」に合っているか

「みんなで遊ぶ時間」と「個別療育の時間」の割合はどうか。言語士や作業療法士が定期的に関わっているか。見学時にスタッフへ直接聞いてみましょう。

④ 保護者へのフィードバックがあるか

毎日の連絡帳でどんな情報を伝えてくれるか、定期的な面談はあるか。「何となく通わせているだけ」にならないために、保護者と事業所が一緒に子どもの成長を追える仕組みがあるかを確認しましょう。


「最初の一歩」が一番難しい。でも、動いた人だけが変わります

ぼくが転職活動をしていたとき、エージェント全員から「40歳超・未経験での業界転換は難しい」と言われました。115社に応募して1社からしか内定をもらえませんでした。それでも動き続けた結果、今こうしてコンサルタントとして仕事をしています。

障がい児の福祉サービス探しも、似ている部分があると思っています。最初の窓口に行くのが怖い、「うちの子はそんなにひどくない」と思って躊躇する、事業所に連絡する勇気が出ない——そういう気持ち、すごくわかります。

でも、動いた人だけが変わります。これは本当のことです。

まずは市区町村の障害福祉担当窓口か、地域の相談支援事業所に電話一本かけてみてください。そこから全部始まります。


まとめ

  • 就学前は「児童発達支援」、就学後は「放課後等デイサービス」が主な選択肢
  • 児童発達支援には預かり型(保育所型)学習型(療育特化型)の2種類があります
  • 送迎つきかどうかは、働きながら子育てする親にとって死活問題です
  • 「発語を促したい」などピンポイントの目標があるなら学習型が有効です
  • 事業所選びは「送迎・スタッフ・プログラム・フィードバック」の4軸で見ましょう

障がいのある子を育てることは、本当に体力も気力も使います。でも、使えるサービスを正しく知れば、親も子も少し楽になれます。

今日、まず一本だけ電話してみてください。それが、あなたとわが子の未来を変える第一歩になります。