6年前に書いた記事を振り返って

2020年、このブログを始めたばかりの頃に「ぼくの強みは『相手の本音を引き出す』能力」という記事を書きました。

当時は薬局薬剤師として働いていた頃で、「なんか患者さんがよく本音を話してくれるんだよなぁ、なんでだろう」という漠然とした気づきを書き散らした記事でした。

あれから6年。

40歳を超えてから薬剤師を辞め、115社に応募して、ようやく1社の内定を得てコンサルタントに転職しました。

そして今、コンサルタントとして仕事をする中で改めて確信しています。

この「相手の本音を引き出す」能力が、自分の最大の武器だった。

薬剤師時代もそうでしたが、転職活動でも、今の仕事でも。 ずっとこのスキルに助けられてきた。


薬剤師時代に気づいたこと

薬局で働いていた頃、不思議なことが頻繁に起きていました。

初めて来局される患者さん、つまり自分のことを全く知らない方から、なぜかいろいろな話を打ち明けてもらえるんです。

薬の話だけじゃなく、

「実は先生にはなかなか言えなかったんですけど…」 「家族にも心配かけたくなくて誰にも言ってなかったんですが…」

と、込み入ったプライベートの事情や、深い不安まで。

しかも、初対面で。

自分でも「え、こんなことまで聞いちゃっていいの?」と思うくらいの話が、わりとすんなり出てくる。

なんでだろう、と長い間思っていました。

顔立ちが良いわけでも(断じてない 笑)、話術が特別に巧みなわけでもない。 ごくごく普通の、一介の薬剤師です。

思い切って妻に相談したら、

「そりゃあ、誠実なオーラが身体中から滲み出てるんだもん!」(にっこり)

と言われました。

…なんじゃそりゃー。笑


「誠実なオーラ」の正体を、もう少し真面目に考えてみた

妻の言葉をそのまま鵜呑みにするのも恥ずかしいので、少し自己分析してみました。

たぶん、自分がやっていることはシンプルで、「この人は今、何を必要としているんだろう」と本気で考えながら話を聞いていることだと思います。

処方箋を受け取ったとき、薬の説明をするだけが仕事だとは思っていない。 目の前の人が、今どんな気分で、何に不安を抱えて、ここに来ているのか。

それが気になって仕方ないんです。

たとえば、いつもより口数が少ない患者さんに「今日はちょっとしんどそうですね」と声をかけると、堰を切ったように話してくれることがある。 「実は最近、夜眠れなくて…」と。

言葉にしていなかっただけで、ずっと抱えていたものを、ちょっとしたひと声で引き出せることがある。

これは特別な技術じゃない。 相手の話を「聞こうとしている」という姿勢が伝わるかどうか、ただそれだけの話だと思っています。

もう一つ、自分が意識していることがあります。

どんな人にも、良い面と複雑な面がある。 初対面でそれを決めつけない。 クレームをいきなり言ってくる患者さんがいても、「この人は今、それだけ追い詰められているんだな」と受け取れるかどうか。

もちろん理不尽な言動には毅然と対応しますが、その前に「なぜこの人はこういう態度なんだろう」と一瞬だけ考える癖があります。


転職活動で、この強みが意外な形で活きた

40歳での転職活動は、文字通りボロボロでした。

115社に応募して、内定は1社。 書類選考でほぼ9割落ちる。残りも面接で落ちる。

それでも諦めなかったのには理由がありましたが、この話は別の記事に書いたのでそちらを見てもらうとして。

面接の場で気づいたことがあります。

面接官が「何か質問はありますか?」と聞いてくる場面、誰でもありますよね。

多くの応募者がこの時間を「自分をアピールする場」として使います。 でも自分はここで、「面接官が今この会社で何を課題だと感じているのか」を引き出す質問をすることが多かった。

「御社では今、〇〇の面で課題があると聞いていますが、現場から見てどのように感じますか?(あくまで意訳)」

すると面接官が、思いのほかたくさん話してくれる。 「そうなんですよ、実はですね…」と本音が出てくる。

それを受けて「だとすれば、自分はこういうことができると思います」と返すと、会話がどんどん深まる。

面接が、一方的なアピールではなく「対話」になる。

これも、薬局のカウンターで無意識にやっていたことと同じでした。


「本音を引き出す」ために、意識していること3つ

これは特別な才能ではないと自分は思っています。 意識すれば、誰でも少しずつできるようになると感じているので、整理してみます。

① 相手の「言葉の外」を見る

「大丈夫です」と言いながら表情が曇っている。 「別に問題ないですよ」と言いながら声が小さい。

言葉と表情・声のトーンにずれがあるとき、そこに本音が隠れていることが多い。 「本当に大丈夫ですか?」と一言確認するだけで、話が動き出すことがある。

② 沈黙を埋めようとしない

話が途切れると、つい何か言おうとしてしまいます。 でも、少し待つと相手が続きを話し出すことがある。

沈黙は「話が終わった」サインじゃなく、「考えている」サインのことが多い。

③ 評価や判断を急がない

「それは〇〇ですね」とすぐ結論を出さない。 まず「そうだったんですね」「それは大変でしたね」と受け取ることを優先する。

評価される前に、まず受け取ってもらえると感じると、人は話しやすくなる。


自分の強みは、気づくまでに十数年かかった

2020年に「なんでだろう」と書いたあの記事から6年。

コンサルタントに転職して、さらにいろんな人と話す機会が増えました。

相手が何を求めているのか、何に悩んでいるのか、何をまだ言えていないのか。 それを引き出すことが、この仕事の根幹だと感じています。

薬局のカウンターで何万回と繰り返してきたことが、今の仕事に繋がっていたんだな、と。

自分の強みって、「これだ!」と探して見つかるものじゃなくて、気づいたら毎日やっていたことの中にあるんだなと、今は思っています。

「自分には強みがない」と思っている人、毎日の仕事の中で自分が一番苦じゃないことを見てみてください。 そこに隠れているかもしれません。


あなたは、自分の強みに気づいていますか?