「この子、もっと早く支援を始めていれば…」

そう思ったことが、何度あったかわからないです。

うちの娘は発話がほとんどありません。「ことばが出ない」という現実を受け入れるまでに、自分なりに時間がかかりました。それでも4人の子育てをしながら、医療経営コンサルタントとして働き、毎日なんとか回している。そんな我が家が今お世話になっているのが、言語聴覚士(ST)さんの訪問サービスです。

この記事では、実際にうちが利用している訪問STサービスについて、「どうやって始めたか」「何が変わったか」をリアルな体験談ベースで書いています。愛護手帳や受給者証がなくても使えるケースもあるので、似たような状況のパパ・ママにとって少しでも参考になれば嬉しいです。


そもそも、なぜ訪問サービスを選んだのか?

うちの娘は送迎つき・保育型の児童発達支援を利用しています。送迎があるのは本当に助かっていて、それ自体はとてもいい支援なんです。

でも、現実はこうでした。

娘が送迎で17:00に帰宅する。その直後に、他の子どもたち(まだ保育園に通っている)を迎えに行かないといけない。娘は目を離すとあっちこっちにフラフラ歩いていくし、他の子どもたちもまだまだ小さい。一時期は、合わせて3人の子どもを車に乗せるだけでも大汗をかくほどでした。泣きそうになったこともある、本当に笑。

「娘を施設に連れていく→他の子を迎えに行く」の二重移動は、体力的にも精神的にも限界でした。

この訪問サービスのおかげで、娘を自宅に残したまま保育園に迎えに行けるようになりました。 STさんが来ている間は、娘も安心して訓練を受けている。それがどれだけ助かっているか、言葉では言い尽くせないです。

あなたのご家庭でも、「外来に通うのがしんどい」「移動の負担が大きい」という状況はありませんか? 訪問という選択肢、意外と知られていないんです。


愛護手帳・受給者証がなくても使えるって、知ってましたか?

ここが一番驚いた点でした。

訪問STサービスは、愛護手帳や受給者証がなくても利用できます。 要件を満たせば、医療保険(健康保険)の対象になるんです。

自分は薬剤師を15年以上やってきたので、医療保険の仕組みはある程度わかっているつもりでした。でも、「訪問看護ステーションからSTさんが子どもの自宅に来て、医療保険でSTリハビリが受けられる」というケースは、正直あまり身近に感じていなかった。

名古屋市ではこども医療費の助成があるため、窓口での自己負担がゼロになっています(※お住まいの地域によって異なります)。病院でのSTを別途受けているわけでもないのに、こんな形で専門家の支援が受けられるとは、正直思っていなかったです。

「うちは手帳もないし、受給者証もまだないし…」と諦めているパパ・ママ、もったいないかもしれません。


訪問STサービスを始めるための手順

では、実際にどうやって利用を始めるのか。自分の経験と調べた情報をまとめます。

①まずはかかりつけ医や小児科に相談する

スタートはここからです。

訪問看護・訪問リハビリは、主治医の指示書(訪問看護指示書)がないと始められないというルールがあります。「発話が出ない」「ことばの発達が気になる」という困りごとを、かかりつけの先生に正直に伝えてください。

ポイントは「日常生活でどんな困りごとがあるか」を具体的に話すこと。「ことばが出なくて、本人の意思が家族に伝わらない」「他の子との移動が大変で外来通院が難しい」など、状況を整理して伝えると動いてもらいやすいです。

②医師が必要と判断したら「訪問看護指示書」を発行してもらう

医師が訪問の必要性を認めると、訪問看護ステーションへの指示書を発行してくれます。

この指示書には、利用頻度やSTが行う訓練の内容などが記載されます。指示期間は最長6ヶ月で、更新が可能です。

③STが在籍している訪問看護ステーションを探す

ここが意外と難しかったです。

STが在籍している訪問看護ステーションは、まだ多くないのが現状です。「小児対応できるSTがいる」となるとさらに絞られます。自分が当初うまく探せなくて、一番苦労したのがこのステップでした。

探し方のヒントとしては、次のような方法があります。

  • 担当の医師やソーシャルワーカーに紹介してもらう(これが一番確実)
  • 障がい児の保護者仲間に聞く(ネットでは出てこないリアル情報がある)
  • 地域の療育センターや保健センターに問い合わせる

「最初からネット検索だけで探そうとして、時間だけかかった」というのは自分の失敗談です。人に聞くのが早かった笑。

④訪問看護ステーションと契約・スケジュール調整

ステーションが決まったら、担当者が自宅に来て説明・契約という流れになります。

ここで「STの訪問を希望している」「来てほしい曜日・時間帯」を明確に伝えることが大事です。STの人数が少ないので、希望通りにならないこともあります。柔軟に調整することも頭に入れておきましょう。


実際にSTさんが来て、何が変わった?

娘は最初、見知らぬ大人が家に来ることにかなり緊張していました。

でも、STさんは焦らず、娘のペースに合わせて関わってくれます。ことばを引き出すためのアプローチ、絵カードや簡単なやりとりゲームなど、毎回少しずつ積み重ねてくれているんです。

劇的に「しゃべれるようになった!」というわけではないです。でも、娘が以前より大人と目が合いやすくなったし、何かを伝えようとする仕草が増えた気がしています。

そして何より、STさんが来ている間は、娘に専門家が付いてくれているという安心感が親にとって大きい。「自分が全部やらなければ」という重圧が、少しだけ軽くなりました。

あなたのお子さんは、今どんな支援を受けていますか? 「もっと早く知りたかった」と後悔しないために、一度周りの支援者や主治医に相談してみてほしいです。


正直しんどかった話もしておきます

ここは本音を書かせてください。

コンサルタントとして転職したとき、115社に応募して1社の内定だった。全エージェントに「難しい」と言われながら、40歳を超えて未経験の業界に飛び込みました。自分の座右の銘は**「刺激があるから人生は愉しい」**なので、それ自体は後悔していない。

でも、転職・仕事・育児・療育を全部同時に回していた時期は、本当にギリギリでした。

「まだ娘の支援が足りていないんじゃないか」「もっと色々調べないといけないのに時間がない」という焦りの中で、障がい児育児の情報収集って本当に大変なんです。「なんで自分でこんなに全部調べないといけないんだ」と思ったこともある、正直。

だからこそ、誰かの経験談は本当に助かるんですよね。「うちはこうだった」という一言が、どれだけ次の行動につながるか。自分もこうして書いています。


まとめ:訪問STは「知らなかった」では損をするサービスです

改めて、我が家のSTさん訪問サービスをまとめます。

  • 愛護手帳・受給者証なしでも利用できる(医療保険適用)
  • 名古屋市ではこども医療助成のため窓口負担なし(地域により異なる)
  • 始めるには主治医への相談→訪問看護指示書の発行→ステーション探しの流れ
  • STが在籍するステーションは少ないので、医師や保護者仲間への相談が近道
  • 「娘を自宅に残して他の子の迎えに行ける」という生活の変化が一番大きかった

制度を知らないと、必要なサービスをただ見逃してしまいます。「うちには関係ない」と思っていたものが、実は一番役に立つ支援だった、ということは珍しくないです。

まずは一歩、かかりつけの先生に「訪問でSTのリハビリを受けることはできますか?」と聞いてみてください。


※本記事は名古屋市在住の筆者の個人的な体験をもとに書いています。制度の詳細や費用負担は地域・年度によって異なりますので、必ず担当の医療機関や自治体にご確認ください。