ドラッグストア薬剤師を辞めた本当の理由〜理不尽な人事を経験して、自分は変わることを選んだ〜


この記事を書こうか、ずっと迷っていました。
転職の経緯はすでに他記事に書いていますが、「なぜドラッグストアを辞めたか」の本当の理由は、あまり詳しく触れてきませんでした。
でも最近、同じような境遇にいる薬剤師の話を聞く機会があって、「あのとき自分はどう乗り越えたのか」を正直に書いておきたいと思いました。
マネージャーとして複数店舗を担当していた
ドラッグストアを辞める前、自分はいわゆる「エリア薬剤師マネージャー」という立場で、複数の薬局を束ねる仕事をしていました。
各店舗の薬局長をサポートしながら、処方箋枚数を増やす取り組みをしたり、薬歴の質を上げたり、スタッフのフォローをしたりする役割です。
やりがいはありました。でも、負荷も相当ありました。
ある時期から、担当エリアが突然増えました。別エリアの担当者がメンタル不調で現場を離れたことが理由でした。引き継ぎもほとんどなく、「とりあえずお願い」という形で増員分を受け持つことになりました。
「なんでこうなるんだ」と思いながらも、担当店舗のスタッフに迷惑はかけられない。必死でカバーしました。
ある日突然、「降格・異動」の内示が来た
そんな日々の中で、ある出来事が起きました。
担当エリアの一部の薬局長が退職を検討していること、さらに別の店舗の独立開業の話が絡んでいることが、上司を通じて自分の耳に入ってきました。
その後、会社から下された判断は「マネージャーとして不適格。降格・異動」というものでした。
理由として告げられたのは、「担当スタッフから”自分のもとでは働けない”という声があった」ということ。
正直、頭が真っ白になりました。
しかも、異動先がまた厳しかったです。
これまで担当していたエリアからも完全に外され、全く土地勘のない場所への異動でした。そして配属された店舗は、事務員もいない完全一人薬剤師の店舗。処方箋の受付から調剤、服薬指導、在庫管理、まで、すべてを一人でこなす環境でした。
(レセプト請求はさすがにその日だけスタッフが来てくれましたが…)
いわゆる「左遷」です。今思い返しても、あれは相当きつかったです(涙)。
「なぜ自分に、直接聞かなかったのか」
一番しんどかったのは、決定の内容そのものよりも、プロセスでした。
事前に自分への確認は一切ありませんでした。個別に話を聞かれることも、弁明の機会も、なかったです。
「誰かの発言をもとに、こういう判断をしました」——そう告げられただけで、終わりでした。
退職を検討していた薬局長たちは、実は自分が担当する前から辞める方向で動いていました。前任担当者との関係が良くなかったことも、社内の記録として残っていました。なのに、なぜか「自分のせい」という結論になっていました。
大組織の人事って、こういうものなのか。そう思いました。
誰にも相談できず、悶々とした日々が続きました。
「組織に怒る」より「自分が変わる」を選んだ
正直なことを言います。最初は怒っていました。
「これは理不尽だ」「おかしい」「なんとか覆せないか」——そういう感情が、しばらくぐるぐると続きました。
退職代行を使ってもう2度と出勤しないでおこうかとも思いましたよ。本気で。


でも、ある時点でふと思いました。
「こんな怒りは、外に向け続けても、何も変わらないし、決して自分の成長にもならない。」
大組織の中では、一個人の声が届きにくいことがあります。正論が通らないこともあります。頑張りが正しく評価されないこともあります。
それは確かに理不尽です。でも、それが現実でもあります。
だとすれば、自分にできることはなんだろう。
「組織に振り回されない、自分自身の力をつけること。」
それが、自分の出した答えでした。
転職を決めた本当の動機
この経験が、転職を考えるきっかけの一つになりました。
薬剤師として「管理される立場」に居続けることへの限界を感じたのだと思います。
ただ、もう一つ、もっと大きな理由がありました。
「医療システムをもっと良くしたい」 という気持ちが、ずっとくすぶっていたんです。
薬局の仕事を続けながら、ずっと感じていたことがありました。患者さんのために動きたい、医療をもっと良くしたい。でも、薬局という立場からできることには、どうしても限界があると感じていました。
処方箋を受け付けて、薬を渡す。服薬指導をする。それ自体はもちろん大切な仕事です。でも自分がやりたいのは、もっと上流の話でした。病院そのもの、医療機関の経営や仕組みを変えること。そこに関わらない限り、本当の意味で医療は良くならないと思ったんです。
薬局からのアプローチでは、そこには届かない。
それが、病院の経営支援という仕事を選んだ理由です。
転職活動では115社に応募して、多くの会社に断られました。それでも動き続けたのは、「あの理不尽さを繰り返したくない」という気持ちと、「医療をもっと良くしたい」という思いが、両方あったからだと思います。
この経験から学んだこと
今、病院の経営支援に関わる中で、あの経験はむしろ財産になっていると感じています。
「正しい評価ができていない組織は、いい人材を失う」
現場では頑張っているのに、組織の仕組みや上司のコミュニケーション不足のせいで、正当に評価されていない薬剤師・薬局長がいます。そういうことが起きていることを、自分は身をもって知っています。
だからこそ、「マネジメントをちゃんと機能させる」という視点で支援できることがあると思っています。
理不尽な経験は、確かに辛かったです。でも今なら、はっきり言えます。
あの降格・左遷は、自分のキャリアにおいて最高の出来事でした。
故スティーブ・ジョブズ氏は、スタンフォード大学の卒業式スピーチでこう言っています。「アップルを追放されたことは、私の人生において最良の出来事だった」と。
あの言葉が、今ならすごくよくわかります。
あのとき左遷されなければ、自分はきっとまだ、同じ組織の中でくすぶっていたと思います。理不尽さに慣れながら、夢を後回しにしながら。
降格・左遷が、夢を叶える一歩になりました。あの出来事がなければ、今の自分はいなかったです。
同じような経験をしているあなたへ
もし今、「自分は正当に評価されていない」「理不尽な扱いを受けている」と感じている薬剤師・医療職の方がいるとしたら、一つだけ伝えたいことがあります。
その怒りや悔しさは、外に向けるより、自分の力に変えるほうがいいです。
大組織に勝とうとするのではなく、「自分が動ける場所を探す」ことに力を使ってほしいと思います。
転職がすべての答えではないですが、「今いる環境以外の選択肢を持つこと」は、自分を守る力になります。
自分もそうやって、少しずつ前に進んできました。
あなたにも、それができるはずです。

← 関連記事:[40歳・4児の父・未経験で転職活動した話〜115社に応募して気づいたこと〜]
