論文

【論文】CG式では日本人高齢者の腎機能を過小評価しているのかもしれない

Cockcroft-Gault方程式(以下,CG式)による腎機能の推定は薬剤師であれば頻繁に行っていると思います.腎機能によって用量調節しなければならない薬剤はたくさんありますし.

ところがこのCG式,どうも高齢者にそのまま適用してしまうと腎機能が過小評価されるかもしれないという報告がありました.

Matsuo M, Yamagishi F.
Age-dependent error in creatinine clearance estimated by Cockcroft-Gault equation for the elderly patients in a Japanese hospital: a cross-sectional study.
J Anesth. 2019;33(1):155-158.

【目的】
高齢患者のCG式によって計算されたクレアチニンクリアランス(CCr)の精度を評価する

【手法】
2009年4月から2017年3月までの期間で,病院での一般外科手術前の24時間採尿(24時間)によるCCr測定とCG式によるCCrの推定との比較

論文PECO
P:55歳以上の一般外科手術前の患者1028人(平均年齢73歳)
E:24時間採尿(24時間)によるCCr測定
C:CG式によるCCrの推定
O:CCrの測定精度
T:横断研究(2009年4月から2017年3月まで)

【結果】
血清クレアチニン値は0.82±0.24mg/dL.
E群:24時間までに測定されたCCrは71.5±21.0mL/min,
C群:CG式による推算CCrは64.2±20.9 mL/min

65歳以上の患者で著しく過小評価されており、その不一致は年齢に依存していた.
90歳以上の患者では21.7±13.2mL/minの誤差があった(P <0.001).

患者が65歳以上の場合,
CG方程式の年齢の項を常に「65歳」に固定する修正CG方程式を使用すると,
年齢依存のエラーはほぼ完全に消失した.

【結論】
日本人の高齢患者にCG方程式を使用する場合、腎機能を過小評価する潜在的なリスクに注意が必要

【批判的吟味】
日本人を対象とした貴重な研究.

要点まとめ

65歳以上の日本人高齢者ではCG式の年齢項を65に固定すると推定誤差がなくなる!