名古屋市における子どもの知的障害診断と行政支援ガイド
はじめに
保育園などでお子様の発達について指摘を受けた場合、どこに相談し、どのような支援が受けられるのか、不安に感じる保護者の方も多いと思います。この記事では、名古屋市在住の方向けに、診断の受け方から行政支援の申請方法まで、具体的な手順をまとめました。
第1段階:初期相談・診断受診
1. 最初の相談窓口
名古屋市では、お子様の発達に関する相談は、まずお住まいの区の以下の窓口で受け付けています。
- 区の保健センター保健予防課
- 区役所の子育て総合相談窓口
これらの窓口では、小児科医や心理判定員、保健師などが経過観察を行い、必要に応じて専門機関への紹介を行います。
2. 地域療育センターでの診断
名古屋市内には5か所の地域療育センターがあり、障害や発達の遅れに対して早期発見・早期療育を行っています。
受診の流れ:
- 電話で初回相談を予約
- 問診
- 発達検査
- 小児科診察
- 診断と今後の方針の提示
地域療育センター一覧(担当区域別):
| センター名 | 担当区域 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 東部地域療育センターぽけっと | 千種区・名東区・守山区 | 052-784-5300 |
| 南部地域療育センターそよ風 | 南区・緑区 | 052-612-3433 |
| 中央地域療育センター | 中区・昭和区・瑞穂区・熱田区 | 052-757-6126 |
| 北部地域療育センター | 北区・東区 | 052-522-5277 |
| 西部地域療育センター | 中村区・中川区・港区・西区 | (要確認) |
3. 医療機関での診断
地域療育センター以外にも、名古屋市内には子どもの発達の診療を行っている医療機関があります。
情報検索: 名古屋市子ども発達支援サイト「すてっぷサポート」(https://stepsupport.city.nagoya.jp/)で医療機関を検索できます。
第2段階:愛護手帳(療育手帳)の取得
手帳の概要
名古屋市では療育手帳を「愛護手帳」と呼びます。全国的には「療育手帳」と呼ばれるものです。
ちなみに、これが我が家での愛護手帳です。


対象者: 知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため何らかの援助を必要とする状態にある方
等級: 障害の程度により以下の4段階に区分されます
- 1度(最重度)
- 2度(重度)
- 3度(中度)
- 4度(軽度)
申請方法
申請場所: お住まいの区の区役所福祉課・支所区民福祉課
必要書類:
- 愛護手帳交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm、上半身、脱帽、1年以内撮影)
- マイナンバーが確認できるもの
判定機関:
- 18歳未満:中央療育センター
- 18歳以上:知的障害者更生相談所
第3段階:行政からの支援制度
1. 特別児童扶養手当(国の制度)
概要: 身体または精神に障害を有する20歳未満の児童の身の回りの世話をしている親もしくは養育者に手当を支給
支給額(令和2年4月時点):
- 重度の障害児:52,500円/月
- 中度の障害児:34,970円/月
対象となる障害の程度:
- 重度: 重度の身体障害(おおむね身体障害者手帳1・2級)または重度の精神障害(知的障害の場合は愛護手帳1・2度と3度の一部)
- 中度: 中度の身体障害(おおむね身体障害者手帳3級と4級の一部)または中度の精神障害(知的障害の場合は愛護手帳3度)
認定方法: 原則として認定診断書により認定
申請場所: お住まいの区の区役所福祉課・支所区民福祉課
2. 名古屋市障害児福祉手当(市の制度)
概要: 名古屋市の住民で重度障害児のうち要綱の基準該当者に支給
支給額: 月額1,150円~14,870円(障害の程度により異なる)
申請場所: お住まいの区の区役所福祉課・支所区民福祉課
3. 児童発達支援給付
概要: 就学前の発達に遅れや不安のあるお子さんに日常生活における基本的な動作の指導、知識・技能の付与、集団生活への適応訓練等の支援を行います。
利用可能施設:
- 児童発達支援センター(地域療育センター通園部)
- 児童発達支援指定事業所
利用料:
- サービスにかかる経費の1割を利用料として負担
- 世帯の所得に応じて利用料に上限あり
無償化制度: 2019年10月1日から、3歳から5歳までの障害のある子どもたちのための児童発達支援等の利用者負担が無償化されています。
無償化の対象期間: 満3歳になって初めての4月1日から3年間
申請場所: お住まいの区の区役所・支所または保健センター (お子さんの状況などにより、利用申請先や必要書類が異なります)
第4段階:継続的な支援
1. 放課後等デイサービス(就学後)
概要: 就学中の発達に遅れや不安のあるお子さんに授業の終了後または休業の日に生活能力向上のために必要な訓練、社会との交流の促進などの支援を行います。
対象: 就学中の児童
2. 相談支援
名古屋市発達障害者支援センター「りんくす名古屋」
- 電話:052-757-6140
- 発達障害児・者への支援を総合的に実施
参考情報
名古屋市子ども発達支援サイト「すてっぷサポート」
URL: https://stepsupport.city.nagoya.jp/
提供情報:
- 児童発達支援指定事業所の検索
- 放課後等デイサービス指定事業所の検索
- 子どもの発達を支援する様々な事業や施策の情報
まず行うべきこと(優先順位)
- お住まいの区の保健センターまたは区役所福祉課に相談
- 地域療育センターでの診断予約
- 診断後、愛護手帳の申請
- 特別児童扶養手当など各種手当の申請
- 必要に応じて児童発達支援サービスの利用申請
おわりに
お子様の発達について心配なことがあったとき、一人で抱え込まず、保健センターや療育センターの専門家に相談することが大切です。名古屋市には様々な支援制度が整っていますので、お子様に合った支援を受けながら、ご家族みんなで前に進んでいってください。
注意事項: この記事の情報は2025年11月時点のものです。制度の詳細や最新情報については、名古屋市公式ウェブサイトまたは各窓口に直接お問い合わせください。
主な問い合わせ先
- 名古屋市公式ウェブサイト: https://www.city.nagoya.jp/
- すてっぷサポート: https://stepsupport.city.nagoya.jp/
- りんくす名古屋: 052-757-6140
- 各区の保健センター・区役所福祉課: お住まいの区の公式ページで確認
おまけ:我が家でのきっかけ
きっかけはとある日の夕方、妻が保育園に我が子をお迎えに行った際でした。
園長先生
「◯◯ちゃん(うちの娘)、ちょっと発達が遅くて、もしかしたら…」
妻
「ええええええええええええっ?!!!!」
仕事から帰宅した自分も、その時のやり取りを聞いてびっくり!
「うそでしょ?!!!」「まさか我が子が?!!」
と正直に思ってしまいました。
注意!
障害のあることに対して、差別的な意図を含んでいるわけではございません。
全く持ってございません。
ただ、親バカな発言を承知で申し上げると、うちの娘、美人なんですよ。本当に。
見た目は全く健常児と変わらず。
肌は白いし、
目はぱっちりの大きな二重瞼。
均整のとれた顔立ち。
頬と唇のバランスも絶妙。
初対面ではほぼ確実に、「ハーフ?!」と尋ねられます。
(純粋な日本人ですよ!笑)
とはいえ、悩んでいても何も始まらないし、ましてや保育園からの指摘に対して、「うちの子はそんなことはない!」と全否定しても無意味。
ここは素直に指摘を受け入れて、具体的にどうすればいいのか考えて行動してみました。
結果として、知的障害の確定診断はついたのですが、意外と自分や妻の気持ちは落ち着いていました。
それから1年と半年ほど経過。
娘は相変わらず成長はゆっくりではあるものの、少しずつできることが増えています。
それを間近でみられることが何よりも嬉しい。
子育ては、どんな子でも、とても楽しいです。
お子さんは決して劣っていない。ただ人と違うだけです。
ザ・コンサルタント(2017年)
この記事が、障害を持つ(であろう)子を持つパパやママさんにとって、少しでも何かのお役に立てられれば幸いです。
